住宅ローン審査の基本
住宅ローンの審査とは、住宅ローンの借り入れを希望する人の返済能力や信用状況を確認し、住宅ローンの貸し出しができるか、いくらまで貸し出しできるかを判定することです。
住宅ローンの審査の大半は、申し込みしてきた”人”のお金にまつわる信用度を確認することですが、それに加えて担保となる物件(マイホーム)に関する審査も行われます。
住宅ローンは、金融機関としてたった1人(または2人)の人に、数千万円単位のお金を貸す行為なので、様々な観点で慎重に審査されます。
銀行ごとに住宅ローンの審査のチェックポイントは違いますが、どの金融機関の住宅ローン審査でもチェックされる基本的な観点は以下の通りです。
1. 収入と雇用状況
- 安定した収入
長期的で安定した収入は、返済能力の重要な指標です。正社員や長期契約の職に就いている場合、審査に有利になることが多いです。 - 雇用の種類と期間
雇用形態(正社員、契約社員、自営業など)と勤務年数も考慮されます。派遣社員やアルバイトの場合は、利用できる金融機関がかなり限定されることになります。一般的に長期にわたる安定した雇用は、返済能力が高いと評価される要因となります。
2. 信用情報
- 信用履歴:
銀行は、過去のローン返済履歴やクレジットカードの利用状況をチェックします。遅延やデフォルトの記録があると不利になります(ほぼ審査が通らなくなります)。また消費者ローンの借り入れが多かったりすると多重債務者や延滞予備軍とみなされてネガティブに見られることもあります。 - 信用スコア
信用情報機関が提供する信用スコアは、借り手の信用度を数値化したものです。高いスコアは、良好な信用状況を示します。日本の住宅ローンではあまりスコア(数値)を使った審査は行われていません。
3. 借入額と返済能力
- 借入額
希望する借入額が収入に対して占める割合も重要なポイントです。年間返済負担率と呼ばれ、一般的には年収の5倍から6倍までの借入が許容されます。最近では年収の10倍近い金額まで貸出する金融機関も出てきています。 - 返済能力
返済能力は簡単に言えば収入の審査ですが、厳密にはその収入が一時的なものにならないか、安定的に得られる収入なのかという観点で確認されます。加えて、住宅ローン以外の既存の債務の状況を考慮して、住宅ローンの返済が問題なく行える状態にあるのか、が評価されます。当然、収入に対する返済金額の割合が大きいと審査に落ちる可能性が高まります。
4. 資産と負債
- 資産状況
既存の資産(貯蓄、不動産、投資など)も審査に影響を及ぼします。資産が多いほど、返済に対する安全マージンが高まります。 - 既存の負債
他のローンやクレジットカードの残高も考慮されます。多額の既存負債は、新たな借入の返済能力を低下させる要因となります。
5. 物件の価値
- 物件の評価
購入予定の物件の市場価値や立地条件が審査に影響を及ぼします。高い市場価値と良好な立地は、リスクを低減します。 - 物件の用途
自己居住用か投資用かによっても審査基準は変わります。投資用物件はリスクが高いと見なされることがあります。
6. その他の要因
- 年齢と健康状態
年齢が高くなると、特に長期ローンの場合、審査に不利になることがあります。また、健康状態も返済能力に影響を及ぼす要因です。 - 家族構成
扶養家族の数が多いと、返済能力が低下すると見なされることがあります。
審査基準を整理
以下に前述した審査基準を整理しました。
審査基準 | 主要な考慮点 | 審査への影響 |
---|---|---|
収入と雇用状況 | 定期収入、雇用形態、勤務年数 | 高い安定性が有利 |
信用情報 | 過去のローン返済履歴、信用スコア | 良好な信用履歴が有利 |
借入額と返済能力 | 借入額の大きさ、収入に対する返済負担 | 低い借入額と高い返済能力が有利 |
資産と負債 | 既存の資産、他の負債 | 資産が多く、他の負債が少ないことが有利 |
物件の価値 | 物件の市場価値、立地条件 | 高い市場価値と良好な立地が有利 |
その他の要因 | 年齢、健康状態、家族構成 | 年齢が若く、健康で扶養家族が少ないことが有利 |
まとめ
上記のように、住宅ローンの審査を大きく分けると申し込み人の返済力と物件の担保力という2本の柱で構成されています。金融機関としては、「貸し倒れ」や「返済遅延」が無い人に住宅ローンを貸すことが至上命題であり、そのために慎重に審査をしていることになります。住宅ローンの審査は複雑です。最近はAIによる審査も進んでいて、複雑化しています。
もちろん、あっさり審査が終わることもありますが、想像以上に時間がかかることもありますし、審査に通っても希望金額未満しか貸してもらえないとこともあります。
各金融機関によって審査基準は異なりますので、上記は一般的な基準として参考としてください。
これから住宅ローンを借りる予定の人は、商品性だけでなく審査基準にも注目して適切に準備することが重要です。