金利の低い住宅ローンへ借り換えることで、利息を軽減し、総返済額を抑えることができるというメリットがあります。
多くの人が、毎月の返済額や最終的な総返済額を少しでも減らすために、住宅ローンの借り換えを検討しているのではないでしょうか。中には、変動金利で借入中の方が、将来的な金利上昇リスクに備えて、早めに固定金利型ローンへ借り換えるという選択をするケースもあります。
2026年8月は、借り換えを考える人にとって節目になる月です。三菱UFJ銀行が「2026年9月1日から住宅ローンの変動金利の基準金利を見直す」と公式に告知しており、これまで「上がりそう」という観測だった変動金利の動きが、
銀行が公表したスケジュールとして読めるようになりました。まずは借り換えの基本を押さえたうえで、記事の後半で2026年8月時点の金利動向を確認していきます。
一般的に、借り換えの効果が大きいと言われている条件には、次の3つがあります。「借り換え前後の金利差が1%以上ある」「残高が1,000万円以上残っている」「残りの返済期間が10年以上ある」これらの条件に当てはまる場合は、借り換えによる恩恵を受けやすいとされています。
それでは、住宅ローン借り換えのメリットと注意点を順に確認していきましょう。
借り換えのメリット
- 金利の節約
借り換えの最大のメリットは、利息の節約にあります。
これは、金利が高かった時期に借りた住宅ローンから、現在の低金利のローンに借り換えるケースだけでなく、一定期間の金利が固定される固定金利タイプで借りている方が、金利優遇期間の終了により適用金利が上がる前に借り換える、といったケースにも当てはまります。住宅ローンの借り換えにおいて、もっとも大きな利点であり、多くの方が借り換えを検討する主な理由となっているのが、現在返済中のローンよりも低い金利のローンに借り換えることで、総返済額を抑えることができるという点です。
- 返済計画や家計の支出の再編成
仮に金利がそれほど下がらないとしても、例えば、借り換えるときに返済期間を延長することで、毎月の返済額を少なくすることもできます。また、マイホームのリフォームを行うときに、リフォームにかかるお金を現在の住宅ローンの金利に加えたうえで、住宅ローンを借り換えることもできます。住宅ローンとリフォームローンを別々に返済すると家計負担も大きくなりますので、タイミングを合わせることで家計の資金計画を見直すことができます。
- 追加のオプションやサービスの利用
最新の住宅ローンには、オプションサービスである団信が充実しています。例えば、疾病保障サービスなどです。最新の住宅ローンに借り換えることで、将来の病気やケガに備える効果を得ることができます。
特にネット銀行の住宅ローンには上乗せなしで付帯する疾病保障があるため、借り換え前後の金利が変わらなくても、住宅ローンを借り換えることで将来の病気やけがに備えることを目的に借り換える人もいます。金融機関によっても差がありますが、一般的には50歳未満の方であれば団信の選択肢が広がる傾向があります。保障の範囲・上乗せ金利の有無は商品ごとに異なるため、申込前に各行の商品説明書で確認しましょう。
- 金利上昇リスクの低減
変動金利タイプで借り入れている場合、金利上昇が本格化する前に固定金利へ借り換えることで、将来的な返済負担の増加を抑えることができます。たとえ現在の住宅ローンより金利が高く見えても、変動金利にもかかわらず高い金利が適用されているケースでは、固定金利への切り替えによって毎月の返済額が軽減される可能性もあります。一般的に、変動金利が上昇する前には固定金利が先に上がる傾向があるため、借り換えのタイミングを逃さないよう、早めに検討しておくことが大切です。
借り換えのデメリットと注意点
- 借り換えにかかる費用
借り換えには事務手数料、司法書士報酬、登記費用などがかかります。これらのコストが、金利の引き下げによるメリットを上回ることがないように、事前に詳細に計算することが重要です。
- 金利差と返済期間のバランス
金利の節約効果を正しく評価するためには、単に現在の金利と借り換えの後の新しい金利の差を見るだけでは不十分です。節約できる金利差がどれほどあっても、借入の残り期間が短ければ、その効果は限定的になる可能性があります。借り換えによるメリットをしっかりと把握するには、金利差とあわせて、現在の残債や返済期間なども含めた総合的な視点で判断することが重要です。
借り換え先の選択
借り換えを検討する際は、以下の要素を考慮して選択しましょう。
- 低金利のローンの選択:
明らかに低い金利のローンを選ぶことで、総返済額の削減が見込めます。
- 追加費用の少ないローン
事務手数料や保証料などの追加費用が少ないローンを選ぶことで、借り換えにかかるコストを抑えることができます。
- 返済条件の柔軟性
繰り上げ返済の手数料が無料のローンや、返済期間の調整が可能なローンを選ぶことで、より柔軟な返済計画を立てることが可能です
住宅ローンの借り換えでよくある失敗例
体験談1 費用を見落としてしまったケース
「低金利のローンに借り換えることで、毎月の返済額を減らせると思っていました。しかし、借り換えにかかる費用を甘く見ていました。司法書士報酬、事務手数料、保証料などが合計すると、思ったよりも高額でした。結局、これらの初期費用が節約できるはずの金利差を上回ってしまい、思ったようなメリットを得ることができませんでした。」
体験談2 金利引き下げ幅の変動のリスクを見誤ったケース
「当初固定金利のローンに借り換えたところ、最初は返済額が減って満足していました。しかし、数年後に固定期間が終わったとたん大きく金利が急上昇し、元の固定金利ローンの時よりも高い返済額になってしまいました。商品性をもっと理解して、長期的な視点で借り換えを検討すべきでした。」
体験談3 審査の厳しさを過小評価したケース
「他の銀行で低金利のローンがあると知り、借り換えを決意しました。しかし、私の場合、収入が変わっていたことや、他の小さなローンを抱えていたことが影響し、新しい銀行の審査に通りませんでした。結局、現在のローンを続けるしかなく、時間と労力が無駄になってしまいました。借り換えを考える前に、自分の信用状況をしっかりと確認しておくべきでした。」
2026年8月時点の金利動向と借り換えの考え方
2026年8月時点の住宅ローンは、変動金利と固定金利で状況がはっきり分かれています。順に整理します。
変動金利:三菱UFJ銀行が「9月1日から基準金利を見直す」と公式に告知
日本銀行は2026年6月16日の金融政策決定会合で、無担保コールレート(オーバーナイト物)の誘導目標を
年0.75%程度から年1.0%程度へ引き上げました。続く7月30・31日の会合では
年1.0%程度で据え置きとなっています(次回会合は9月17・18日)。
この6月の利上げを受け、三菱UFJ銀行は同行サイトで
「2026年6月16日発表の短期プライムレートの引き上げに伴い、2026年9月1日より住宅ローンの変動金利の基準金利を見直す」と告知しています。
9月の基準金利は2026年8月31日に発表され、以降は毎月1日を基準日として見直す運用になります。すでに同行で借入中の方については、契約している変動金利の種類によって反映時期が異なります。
| 金利の種類 | 直近の見直しの基準日 | 返済額への反映 |
| 変動金利(毎月型) | 2026年9月1日 | 2026年10月の返済日の翌日から適用(2026年11月の約定返済分より反映) |
| 変動金利(年2回型) | 2026年10月1日 | 2026年12月の返済日の翌日から適用(2027年1月の約定返済分より反映) |
出典:三菱UFJ銀行「【住宅ローン】変動金利の基準金利見直しについて」(ページ表記 2026年6月17日現在)。当初借入日が2008年12月以前のローンなど、このルールに基づかない場合があると同行が注記しています。
ここで押さえておきたいのが、
「基準金利の見直し」=「その日から適用金利がそのまま上がる」という意味ではないことです。実際に適用される金利は「基準金利−引下げ幅」で決まり、引下げ幅の扱いは商品や契約によって異なります。また、
9月の基準金利の具体的な数値は8月31日の発表待ちです。上げ幅を先回りして計算するのではなく、発表後に自分の「ご返済のお知らせ」で確認するのが確実です。他行のスケジュールも銀行ごとに異なるため、借入先の公式サイトで個別に確認してください。
「金利が上がる=すぐ返済額が増える」ではない(5年ルール・125%ルール)
変動金利で借りている方が最初に確認すべきなのが、
5年ルール・125%ルールの有無です。三菱UFJ銀行は同じ告知ページのQ&Aで、
「変動金利かつ元利均等返済で借入中の場合、10月1日を基準とした5年間は返済額に変更はありません(返済額の元金分と利息分の割合は変わります)」と明記しています。同行では
元金均等返済には5年ルール・125%ルールはありませんとも注記されています。
ただし、
このルールはすべての金融機関にあるわけではありません。たとえばSBI新生銀行は公式サイトで「5年ルール・125%ルールは当行の住宅ローンでは採用しておりません」と明示しており、適用金利が変わるたびに毎月返済額も見直されます。返済額が据え置かれない代わりに、利息の支払いが先送りされて未払利息が積み上がる心配が起きにくい、という違いがあります。
どちらが有利かは一概には決められません。大切なのは、借り換え先を比べるときに「5年ルールがあるか」「金利の見直しはいつか」「返済額への反映はいつか」の3点をセットで確認し、金利が上がった場合の返済額を自分の家計で試算しておくことです。
固定金利は2026年8月も上昇(フラット35は制度改定以降で最高水準)
長期金利に連動する固定金利は、上昇が続いています。住宅金融支援機構が公表する
2026年8月資金受取分のフラット35(新機構団信付き・返済期間21年以上35年以下)の最も多い金利は、
融資率9割以下で年3.290%、9割超で年3.400%です。前月(2026年7月)の年3.140%から
+0.150%の上昇で、現行制度となった2017年10月以降で最も高い水準になりました。返済期間20年以下のフラット20は9割以下で年2.970%です。
なお、掲載金利はデュエット(ペア連生団信)で+0.180%、新3大疾病付機構団信で+0.240%となります。
フラット35の金利は取扱金融機関ごとに異なるため、「返済期間・融資率・団信の種類」をそろえて比較してください。
当社が実測した2026年8月の金利:変動は据え置き、固定は総じて上昇
当社編集部では毎月、各金融機関の公式の住宅ローン金利ページを実際に開いて表示金利を取得し、銀行・商品・借入区分・金利タイプ・期間の単位に分解して集計しています。
2026年8月4日に14の金融機関・機関を確認し、127件の適用金利を集計したところ、前月と比較できた127件のうち
102件が引き上げ、23件が据え置き、2件が引き下げでした(当社調べ)。
金利タイプ別に見ると、この「引き上げ」がどこに偏っているかがはっきりします。
当社編集部が2026年8月4日に14の金融機関・機関の公式金利ページを確認し、前月と比較できた127件を金利タイプ別に集計。件数は「銀行×商品×借入区分×金利タイプ×期間」の組み合わせ数で、銀行の社数ではありません。
当社が実測した変動金利27件のうち23件は据え置きで、動いたのは4件でした。一方で
固定10年・固定20年前後・固定35年前後・フラット35/50は、実測した項目のほぼすべてが引き上げです。「金利が上がった」というニュースの中身は、2026年8月時点では主に
固定金利の話だった、ということになります。
なお上の件数は「銀行×商品×借入区分×金利タイプ×期間」の組み合わせ数であり、銀行の社数ではありません(フラット35・50は同一の機構金利を取扱金融機関ごとに計上しています)。当社の実測データは2026年6月からの3か月分のため、これより長い期間の傾向は当社実測を根拠にしていません。
「長プラが30年ぶりの高水準」は変動金利の話ではない
2026年8月は「みずほ銀行の長期プライムレートが年3.25%へ引き上げ(8月12日適用・30年ぶりの高水準)」というニュースも流れました。ただし
長期プライムレート(長プラ)は主に大企業向けの1年超の融資の最優遇金利で、
住宅ローンの変動金利の基準になるのは短期プライムレート(短プラ)です。
長プラが上がったからといって、それだけで変動金利が上がるわけではありません。
長プラの上昇は長期金利の上昇局面を示す材料なので、読み取るとすれば
「固定金利が上がっている方向と同じ」という文脈です。ニュースを見るときは「どの金利の話か」を必ず切り分けましょう。
それで、借り換えはどう考えるか
変動金利は2026年8月時点で据え置きの金融機関が多い一方、三菱UFJ銀行のように見直しのスケジュールを公表した銀行も出てきました。固定金利は先行して上がっています。つまり
「変動のまま様子を見る」も「固定へ移す」も、どちらか一方が正解とは言えない局面です。判断材料としては、次の順で確認するのが現実的でしょう。
- 借入先の変動金利の見直し時期と、返済額に反映される月を公式サイト・返済予定表で確認する
- 自分のローンに5年ルール・125%ルールがあるかを商品説明書で確認する
- 金利が上がった場合の返済額を試算し、家計が耐えられる水準かを見る
- そのうえで、諸費用を含めた借り換えの実質的な削減効果を計算する
借り換え先を選ぶ際は、金利の低さだけでなく、事務手数料・保証料などの
諸費用を含めた実質的な削減効果、団信の保障内容、繰上返済のしやすさまで含めて比較しましょう。たとえば
SBI新生銀行は、融資事務手数料が借入金額×2.20%(税込)の定率型で保証料が0円、一部繰上返済手数料も0円と諸費用の内訳が分かりやすく、店舗相談とオンライン手続きの両方に対応しています。当社が2026年8月4日に同行の公式金利ページを確認した時点では、
借り換えの変動金利(半年型)は年1.080%で7月から据え置き、SBIハイパー預金の優遇を適用した場合は年0.990%でした(2026年8月適用分)。こうした行も含め複数の金融機関を見比べることで、ご自身に合った借り換え先を選びやすくなります。
金利・手数料は随時改定されるため、最新の適用条件は各金融機関の公式サイトでご確認ください。
住宅ローンの借り換えに関するよくある質問(FAQ)
借り換えの効果が出やすい目安は?
一般的には「借り換え前後の金利差が1%以上」「ローン残高が1,000万円以上」「残りの返済期間が10年以上」の3つがそろうと効果が出やすいとされています。ただしこれは目安で、諸費用を含めた総額で判断することが大切です。
借り換えにはどんな費用がかかりますか?
新たなローンの事務手数料・保証料に加え、抵当権の設定・抹消にかかる登記費用や司法書士報酬などが必要です。金利差による削減額がこれらの費用を上回るかを、必ず事前に試算しましょう。
金利上昇局面では変動と固定のどちらへ借り換えるべき?
2026年8月時点は日銀の利上げ(政策金利は年1.0%程度)を背景に、長期金利に連動する固定金利が先に上がっています。将来の返済額を確定させたい場合は固定への借り換えが選択肢になりますが、当初固定型は固定期間終了後に金利が上がるため、期間終了後の条件まで含めて長期で比較することが重要です。
基準金利が見直されると、毎月の返済額はすぐ増えますか?
契約している金融機関と返済方法によります。5年ルールを採用している銀行で元利均等返済を選んでいる場合、基準日から5年間は毎月返済額そのものは変わらず、返済額に占める元金と利息の割合が変わります(元金均等返済にはこのルールはありません)。一方、SBI新生銀行のように5年ルール・125%ルールを採用していない金融機関では、金利の見直しにあわせて返済額も見直されます。
自分のローンがどちらかは、商品説明書と返済予定表で必ず確認してください。
変動金利の見直し時期は、どの銀行も同じですか?
いいえ、
銀行によって異なります。三菱UFJ銀行は2026年9月1日以降、毎月1日を基準日として見直す運用に変わると公表していますが、年2回(4月・10月など)の基準日を採用している銀行もあります。さらに「基準日」と「返済額に反映される月」も別です。借入先の公式サイトの案内で、両方を確認しておきましょう。
借り換えを申し込むと、必ず審査に通りますか?
いいえ、借り換えでも新規借入と同様に審査があります。
返済実績があっても、現在の年収・勤続年数・他の借入・信用情報などによっては否決されることがあります。体験談3のように、申し込む前に自分の借入状況を整理しておくと無駄が減ります。複数行に同時に申し込むかどうかも含め、スケジュールに余裕をもって進めましょう。
まとめ
住宅ローンの借り換えには、金利を下げることで総返済額を抑えられたり、毎月の返済負担を軽くすることで家計を見直すきっかけになったりと、大きなメリットがあります。一方で、事務手数料や保証料、登記費用などの諸費用が発生するため、条件次第では期待したほどの効果が得られないケースもあります。
そのため、借り換えを検討する際には、単純な金利差だけを見るのではなく、
諸費用を含めた実質的な削減効果や、残りの返済期間、現在の収入状況や信用情報といった点を含めて、総合的に判断することが重要です。特に、借り換え後の返済額が家計にどのような影響を与えるかを具体的にイメージしておくことが欠かせません。
2026年8月時点では、変動金利は据え置きの金融機関が多い一方で、三菱UFJ銀行が9月1日からの基準金利見直しを公表し、固定金利は上昇が続いています。まずは自分のローンの見直し時期と5年ルールの有無を確認し、金利が上がった場合の返済額を試算するところから始めるとよいでしょう。
目安として、借入から5年以上が経過している場合や、将来の教育費・老後資金などを見据えて家計に余裕を持たせたいと感じている方であれば、一度シミュレーションを行ってみる価値は十分にあります。結果として借り換えをしない判断に至ったとしても、現状を客観的に把握すること自体が、今後の資金計画を考えるうえで有益な材料となるでしょう。
住宅ローンは長期間にわたる大きな支出だからこそ、定期的に見直しながら、ライフプランに合った形へと調整していくことが大切です。