元々住宅ローンの最長年数は35年という銀行がほとんどでした。
そんな中、昨今の住宅価格の上昇が続く状況下において「毎月の返済負担を抑えたい」「都心でも無理なくマイホームを持ちたい」といったニーズから、返済期間最長50年の住宅ローンが一気に増えています。
この記事では、50年ローンを扱う代表的な4社(SBI新生銀行・PayPay銀行・住信SBIネット銀行・イオン銀行)を比較しながら、特徴やメリット・注意点を整理します。
目次
50年ローンとは?
50年ローンは、一般的な35年ローンよりも返済期間を長く設定することで、毎月の返済額を大きく抑えられる長期の住宅ローンです。
50年ローンのメリット
家計の負担を抑える効果が期待できる50年ローンですが、具体的にどのような利点があるのか詳しく見ていきましょう。
月々の返済額を大きく圧縮できる
たとえば、SBI新生銀行で5,000万円を変動金利0.68%・35年返済で借りた場合、毎月の返済額はおよそ13.3万円となります。
これを50年返済に延ばすと、金利が年0.1%上乗せされるものの、月々の返済額は約10.0万円にまで下げることができます。
つまり、毎月約3.3万円、年間では約39.6万円の負担軽減が可能となり、家計に確かなゆとりが生まれます。
返済が軽くなる分、同じ支払イメージで借入可能額を増やすこともできます。これにより、これまで手が届かなかった物件や希望条件に合った立地・間取りを選択肢に入れやすくなります。
また、返済負担の軽減は、20代の若い世代にとってマイホーム取得の後押しにもなり、住宅購入の現実味がぐっと増す点も大きなメリットです。
購入できる住宅の幅が広がる
「毎月13万円ほどで返済を抑えたい」という前提で考えると、35年返済では借入可能額は約4,900万円が上限となります。
一方、返済期間を50年にすると、同じ返済額でも約6,500万円まで借入可能となり、より広い物件や利便性の高いエリアの住宅も選びやすくなります。
物件選びの自由度が大きく上がる点は、50年ローンの大きな魅力です。
ライフプランにゆとりを持たせられる
月々の支払い負担が減ることで、教育費・老後資金・貯蓄など、住宅以外の支出に回せる資金が確保しやすくなります。
50年ローンのデメリット
魅力の大きい50年ローンですが、次のような注意点も押さえておく必要があります。
総返済額はどうしても増えやすい
返済期間が長ければ、利息を支払う期間も長くなるため、35年ローンと比べると総返済額は増加する傾向にあります。そのため、月々の負担が軽くなる一方で、トータルコストは高くなる可能性が高い点は把握しておきましょう。
金利上乗せが発生する
どの金融機関でも、35年超の借入期間を選択する場合は年0.1〜0.15%の上乗せとなるのが一般的です。
金利変動の影響を受けやすい
変動金利で借りる場合、将来金利が上昇した際には月々の返済額が増える可能性があります。
特に50年という超長期契約では、金利動向の変化を受ける期間が長くなるため、返済額が増えるリスクを十分に理解しておく必要があります。
各社の50年ローン比較一覧表
50年ローンを取り扱っている各社の条件を簡単にまとめるとこのようになります。
|
項目 |
SBI新生銀行 |
PayPay銀行 |
住信SBIネット銀行 |
イオン銀行 |
|---|---|---|---|---|
|
最長借入期間 |
50年 |
50年 |
50年 |
50年 |
|
50年ローン対象 |
変動金利(半年型)新規借入のみ |
変動金利・固定金利 |
変動金利・固定金利 |
変動金利・固定金利 |
|
35年超の金利上乗せ |
+0.10% |
+0.10% |
35年超〜40年:+0.07%/40年超〜50年:+0.15% |
+0.10% |
|
50年ローンの借入金利 (2025年12月時点/変動金利) |
年0.78% |
年0.83% |
年1.098% |
年0.93% |
|
完済年齢目安 |
80歳未満 |
80歳未満 |
80歳未満 |
80歳未満 |
SBI新生銀行・PayPay銀行・イオン銀行は、35年超は金利+0.10%で50年ローンを提供しているのに対し、住信SBIネット銀行は40年超〜50年の部分が+0.15%と、やや上乗せが大きい設計になっています。
また最終的な金利を見るとSBI新生銀行の金利が最低水準であることがわかります。
SBI新生銀行の50年ローンの特徴
SBI新生銀行は、2025年11月から住宅ローンの借入期間を最長50年まで拡大しました。後発組であるが故に、非常に訴求力の高い金利となっています。
主なポイント
• 35年超の超長期でも、上乗せは +0.10%に抑えられている
• ネット完結の住宅ローン × 業界最低水準クラスの金利水準
• 保証料・一部繰上返済手数料が不要で、繰上返済も1万円から可能
SBI新生銀行で、5,000万円を変動金利(半年型)年0.68%で借り入れた場合、毎月の返済額は以下となります。
• 35年返済:毎月約13.3万円
• 50年返済:毎月約10万円
50年ローンでは、月々の返済負担を約3.3万円(年間約39.6万円)軽減できます。
さらに、「毎月13万円程度の返済額」に抑えたい場合においては、
• 35年返済:借入可能額は約4,900万円
• 50年返済:同じ13万円で約6,500万円まで借入可能 となり、借入可能額が約1,600万円増えるイメージです。
「毎月の支払いを抑えつつ、都心の物件や広めの間取りも検討したい」というユーザーにとって、SBI新生銀行の50年ローンはかなり相性のよい商品といえます。
PayPay銀行の50年ローン
PayPay銀行も、住宅ローンの借入期間を最長50年まで拡大しているネット銀行の一つです。
主なポイント
金利水準だけを見ると、PayPay銀行はトップクラスの低さで、50年ローンの金利上乗せもSBI新生銀行と同じ+0.10%に抑えられています。
また、ソフトバンクユーザーであれば、金利年0.07%引き下げ。
さらに、ソフトバンクのスマホ+ネット+でんきを契約している人であれば、合計で年0.13%も金利引き下げしてくれるという嬉しい特典もついています。
ソフトバンクユーザーの方は積極的に検討してみると良いでしょう。
住信SBIネット銀行の50年ローン
住信SBIネット銀行は、ネット銀行としていち早く返済期間最長50年の住宅ローンを導入した金融機関です。
主なポイント
住信SBIネット銀行の50年ローンのポイントは、借入年数に応じて段階的に金利が設定されているという点です。
• 35年超〜40年以内:金利+0.07%
• 40年超〜50年以内:金利+0.15%
35年だと短いけど、50年だと長すぎる、というお考えの方には、とても合っている商品性と言えます。
住信SBIネット銀行は、保障の手厚さや金利タイプの豊富さが魅力ですが、40年超〜50年の部分では「+0.15%」と他行より上乗せ幅が大きくなります。
そのため、本気で50年フルフルで借りる場合には、金利面でやや不利になりやすい点は押さえておきたいところです。
イオン銀行の50年ローン
イオン銀行も、2025年4月から住宅ローンの借入期間を最長50年まで拡大しています。
主なポイント
イオン銀行は、日常の買い物が多い世帯・郊外の大型モールをよく使う家庭にとって、割引特典を含めたトータルメリットが出やすい銀行です。
一方、金利面ではSBI新生銀行・PayPay銀行と同じく「+0.10%」の上乗せですが、トータルの金利では決定的な優位性がないため、ライフスタイルとの相性で選びたい印象です。
まとめ・おすすめの住宅ローンは?
4社の50年ローンを比較してみると、返済期間を35年超にした際の上乗せ金利については、いずれの金融機関も概ね +0.10%前後 と大きな差はありません。
住信SBIネット銀行のみ40年超で+0.15%となるものの、全体としては「上乗せ金利のインパクトだけで金融機関を選ぶ」ほどの決定的な違いは少ないと言えます。
そのうえで注目したいのが、基準となる金利水準の低さです。
SBI新生銀行は、通常の変動金利(半年型)の水準が4社の中でもトップクラスに低く、さらに保証料不要・繰上返済手数料無料といった長期利用に適した条件が揃っています。
審査の柔軟さや、住み替えや転職直後でも取り組みやすい点など、総合力で見ても抜きん出たバランスの良さが特徴です。
50年ローンは、月々の返済を抑えられる一方で、返済期間の長期化によるリスクも伴います。そのため、金融機関の選択においては「金利上乗せ」という一部分だけではなく、基準金利・諸費用・繰上返済のしやすさ・サポート体制といった、長い返済期間を通じて影響する要素を総合的に見ることが重要です。
これらを踏まえると、SBI新生銀行は 低い基準金利 × 利便性 × 柔軟な審査 が揃っており、初めて50年ローンを検討する方にも、長期的な返済計画を重視したい方にもおすすめできる金融機関です。
「月々の負担を抑えながら、理想の住まいを無理なく実現したい」
そんな方にとって、SBI新生銀行の50年ローンは有力な選択肢となるでしょう。