はじめに
この記事ではこれまでの住宅ローンの金利動向や、2025年以降の住宅ローンの金利の今後の見通しについて解説しています。
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1. 足元の金利概況
変動金利(17年ぶりの金利引き上げ環境)
住宅ローンは、銀行にとっては、優良な個人と大きな金額の取引を開始できる重要な金融商品です。住宅ローンには、”不動産”という優良担保があるだけでなく、長い期間、その顧客との取引が続くことになります。
しかも、その人が住宅ローンを完済したころには、貯蓄を資産運用に興味を示す世代になっている可能性もあり、 都市銀行や地方銀行だけでなくネット銀行も含めて激しい顧客争奪戦が繰り広げられている領域が住宅ローンです。
また、「変動金利タイプ」は住宅ローンの金利を引き上げる権利を銀行側が持つ商品です。各行0.2%台というとんでもない低金利競争を繰り広げてきましたが、2024年の10月からは各行一斉に金利を引き上げました。つまり、「銀行が赤字にならないようにコントロールすることもできる」という特徴もあります。
固定金利(長期金利の上昇傾向に追随)
固定金利に関しても、変動金利と同じく銀行同士の引き下げ幅競争が行われていますが、変動金利と異なるのは2022年から2024年にかけて、確実に金利が上昇しているという点です。この金利上昇の背景には、世界的なインフレや、日本国なの金利の上昇があります。固定金利の基準金利は長期金利(10年もの国債利回り)の影響を受けるため、長期金利の上昇に合わせて固定金利タイプの金利も上昇しています。
上のグラフについては長期金利の推移(過去10年)を表したものになっていますが、現在の金利水準は過去10年間で最高水準となっています。
2. 主要銀行の金利動向
以下は、人気の住宅ローン金利(変動金利・10年固定金利)の直近の金利動向です。
銀行名 | 金利タイプ | 2025年1月金利 |
---|---|---|
auじぶん銀行 | 変動 | 0.479% |
10年固定 | 1.285% | |
住信SBIネット銀行 | 変動 | 0.484%~ |
10年固定 | 1.383%~ | |
SBI新生銀行 | 変動 | 0.430% |
10年固定 | 0.950% | |
三菱UFJ銀行 | 変動 | 0.345%~ |
10年固定 | 1.390%~ |
各銀行の動向
2025年1月の住宅ローンの金利について解説していきます。2025年1月は多くの金融機関・金利タイプで据え置きの状況と言えるでしょう。固定金利タイプの金利は引き上げに動いた金融機関があった程度です。
主要なネット銀行を中心に、新しい住宅ローンの取り組みや商品改定・キャンペーンも開催されていますし、新サービスや商品性変更も散見されています。
固定金利はやや上昇傾向が続いています。日銀の金融緩和政策修正による長期金利(10年国債利回り)の上昇が影響している形です。代表的な商品である「フラット35」の金利も上昇傾向にあります。
変動金利が引き上げられた一方で、金融政策の影響で一足先に上昇した固定金利は足元の金利上昇幅が小さく変動金利と固定金利の金利差が縮小しています。不動産価格が高騰する中、変動金利も上昇したとはいえ、歴史的な低水準は堅持されていくと考えられます。
3. 金利予測と市場分析
変動金利の見通し
変動金利は通常、「短プラ(短期プライムレート)」と呼ばれる金利指標が基準となっていますが、この短プラは2009年頃から全く変化していない状態が続いていましたが、2024年9月に引き上げられています。
日銀がマイナス金利政策を終了したことで住宅ローン金利を含む、世の中の金利が軒並み上昇傾向です。引き続き、日銀の金融緩和政策の動きに注目が集まっています。
固定金利の見通し
前述のとおり、マイナス金利は終了しても、引き続き、大規模な金融緩和は継続されていて大きく方向転換しているわけではありません。すでに長期金利は1%を超える水準をタッチしており、今後、どこまで金利が上昇するのか、日銀がどの程度の金利上昇を許容するかに注目です。
まとめ
現在も、基本的には日銀は金融緩和を続けていることから、金利は引き続き低水準が見込まれます。
銀行ごとに住宅ローンの金利差がある場合でも、「付帯サービスの充実度」「繰り上げ返済の利便性」「諸費用の安さ」といった金利以外の商品特性を総合的に検討することが重要です。単に「金利が上がりそうだから」という焦りではなく、資金計画をしっかりとたて、家計状況やライフプランに合った商品・金利を選ぶことが大切です。