住宅ローンを比較する時に、金利の次に重要と言ってもよいのが団体信用生命保険(団信)や団信に付帯する特約による保障内容です。このページでは団体信用生命保険の役割や商品内容について解説しています。

団体信用生命保険とは?

  1. 団体信用生命保険の特徴
  2. 団信の選び方

団体信用生命保険の特徴

団体信用生命保険っていろんな種類があるみたいだけど、そもそもどういう保険なんだろう・・・

団体信用生命保険(団信)は、住宅ローン契約者に万が一の事態が起きた際、住宅ローンの残高を保険で返済するための生命保険です。住宅ローンを利用する際には、ほとんどの金融機関で団信の加入が必須とされており、住宅ローンとセットで考えるべき非常に重要な保険制度です。


一般的な団信の仕組みは、住宅ローンの契約者が死亡、または高度障害状態になった場合に、保険会社から保険金が支払われ、その時点での住宅ローンの残債が一括で返済されるというものです。つまり、契約者が返済不能になったとしても、ローンがゼロになり、残された家族は住宅ローンの返済を引き継ぐことなく、そのままマイホームに住み続けられるという大きな安心を得ることができます。


この制度は契約者の家族にとって大きなメリットであると同時に、金融機関側にとっても、貸し倒れリスクの軽減につながるため、ほとんどの銀行や住宅ローン提供会社で標準装備されているのが現状です。特にフラット35など一部を除き、多くの住宅ローン商品では団信加入が義務付けられています。


なお、団信の加入は住宅ローン契約時の「一回限り」であり、契約後に保障内容を見直したり、後から付加することは原則としてできません。また、がんや三大疾病、全疾病対応などの上乗せ保障があるタイプも増えてきており、金利に多少の上乗せがあるものの、医療保険や生命保険を見直す機会としても注目されています。


そのため、団信を選ぶ際には、現在加入している他の保険との保障内容の重複や、家族構成、ライフプランを考慮したうえで、自分に最適な保障内容を選択することが重要です。住宅ローン契約時は、家計にとって大きな転機であると同時に、保障体制を見直す絶好のタイミングでもあります。住宅ローンを選ぶ際には、金利や返済プランだけでなく、団信の内容にもぜひ注目してください。


団信の種類

住宅ローンに付帯する団体信用生命保険(団信)は、かつては「死亡または高度障害時に残債がゼロになる」シンプルな保険でしたが、近年ではがんや三大疾病、さらには生活習慣病にまで対応するなど、保障のバリエーションが大きく広がっています。契約者自身の健康リスクや家族構成に応じて選択肢が豊富にあるため、住宅ローン選びと同時に団信の内容もしっかりと比較検討することが重要です。


 


一般団信(ベーシックな団信)


一般団信は、住宅ローン契約者が死亡または高度障害状態になった場合に、住宅ローンの残債が全額保険で返済されるタイプの団信です。多くの金融機関ではこの一般団信への加入が原則必須となっており、しかも保険料は銀行側が全額負担してくれるケースが一般的です。そのため、追加費用を気にせず最低限の安心を得られる制度となっています。


 


がん保障付き団信(がん団信)


がんと診断された際に保障を受けられる団信で、次の2タイプがあります:




  • がん50%団信:所定のがん(悪性新生物)と診断されると、住宅ローン残高の50%が保障される。条件を満たせば、金利上乗せなしで加入可能なケースも。




  • がん100%団信:がんと診断されると住宅ローン残高が全額保障されるタイプ。加入には年0.1〜0.2%程度の金利上乗せが必要。




がんのリスクが心配な方や、家系的にがん家系が多い方にとっては、特に検討する価値のあるオプションです。


 


3大疾病保障付き団信


「がん」「急性心筋梗塞」「脳卒中(脳血管疾患)」のいずれかに罹患し、所定の条件を満たした場合に、住宅ローン残高が全額保障されます。健康リスクに備えたい方に人気があり、金利への上乗せは年0.1〜0.3%程度が相場です。


 


 


8大疾病保障付き団信


3大疾病に加えて、「高血圧症」「糖尿病」「慢性腎不全」「肝硬変」「慢性膵炎」といった生活習慣病系の疾患にも対応する保障が付いた団信です。加入には年0.1〜0.3%程度の金利上乗せが必要ですが、より広範囲なリスクに備えたい方にとっては安心感の高いプランです。


 


 


ワイド団信(引受緩和型団信)


健康状態に不安があり、通常の団信に加入できない方向けに設計されたのが「ワイド団信」です。加入条件が緩和されており、過去の病歴や持病がある方でも加入しやすくなっています。保障内容は一般団信と同等で、金利は年0.3%程度上乗せされるのが一般的です。


 


このように、団信は単なる付帯保険にとどまらず、ライフプランや保険全体の設計において大きな意味を持つ重要な選択肢です。住宅ローンの返済期間は10年~35年と長期にわたるため、その間の健康リスクに備える視点で、自分や家族にとって最適な保障内容を見極めていきましょう。住宅ローン金利の比較とあわせて、団信の種類ごとの違いにもぜひ注目してください。


団信の選び方

住宅ローンを選ぶ際は団信の保障内容だけでなく、金利や手数料も含めて総合的に判断するのが良いでしょう!

保障の必要性 単身世帯の方や、十分な預貯金を確保されている方などは保障の充実した団信に加入する必要がないケースもあります。


また、ご自身がすでに加入している死亡保険やガン保険などと保障が重複するケースもあると思いますので、住宅ローン契約の際に保障を見直すということも選択肢になるでしょう。


上乗せ金利 保障の手厚い団信の場合、金利上乗せが年0.3%程度上乗せされることもあり、場合によっては住宅ローンの金利と同じぐらい団信の保障料を支払うことになるケースもあります。


住宅ローンのシミュレーションなどで、団信の保険料が月々いくらぐらいに相当するのかなども事前にチェックした上で、ご自身の納得したプラン選択を目指しましょう。


まとめ

団体信用生命保険を賢く比較するためには、金融機関ごとの保障内容をチェックしたうえで、それぞれの住宅ローン金利や、上乗せされる金利、契約にかかる手数料等総合的に考えるのがおすすめです。


金融機関によっては無料で付帯できる団信もありますので、コストをかけずに保障を強化することもできます。


今回ご紹介した団信の種類、注意点、比較のポイントも参考に、ご自身に合った住宅ローンと団信を選びましょう!


編集者 住宅ローンナビアシスタントI

住宅ローンナビのライター兼編集者。某金融機関で住宅ローンに関連する業務に従事し、2023年より住宅ローンナビの記事の監修を開始。

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