マイホームの購入を考え始めると同時に考えなければならないのが住宅ローンです。
マイホーム選びも悩みますが、それと同じくらい住宅ローン選びにも悩むことになりますし、悩むべきです。
不動産会社に言われるままに住宅ローンを選んでしまう人もいますが、、不動産会社は家を売ることが目的の人たちなので、その家を購入した後の家計のことまでは真剣に考えてくれませんし、責任も取ってはくれません。
住宅ローン選びはご自身の責任です。それを肝に銘じて納得して選ぶことが大切です。
まず、各金融機関から提供されている様々な住宅ローン商品を見比べた際に「どの住宅ローンが適しているのか」「自分に合った選択肢は何か」といった疑問に必ず直面します。住宅ローンは大半が初めての経験なので疑問だらけで当たり前です。
今回は、住宅ローンの選び方に焦点を当てえて、住宅ローンを選びを始めた段階で考慮すべきポイントや、適切な金融機関を見つける上でのヒントについて解説していきます。住宅ローンの選択において考えるべき事項や、効果的な金融機関の選定方法について確認していきたいと思います。
目次
住宅ローンを借りる際に、最初に確認すべきポイント
まず、取得する住宅の具体的な内容について確認していきましょう。まず、希望する広さや設備、購入または建築を検討している物件の場所などを明確にしていきます。当然、住宅の特徴や立地によって、価格が大きく変動します。例えば、マンションの場合は管理費も考慮する必要がありますし、戸建て住宅では将来発生するであろう修繕費用も視野に入れておくべきです。これらの要素を考慮して、自身の予算内で取得する住宅を検討しましょう。
次に、自己資金についてです。一般的に、住宅ローンを組む際には物件価格の20%以上の自己資金が理想とされています。例えば、物件が5,000万円ならば、1,000万円の自己資金が望ましいということです。
自己資金を準備しておけば、金融機関によっては自己資金優遇(例えば物件価格の1割を頭金として用意すれば金利が優遇されるなど)の経済的なメリットが受けられる場合もありますし、そもそも借入金額を少なくすることで、支払い利息や、銀行に支払う事務手数料などの借入コストを抑えることができます。一方で自己資金を必ず入れないといけない、というわけではないので、貯金額等を確認した上で無理なく検討しましょう。
住宅ローンの借入先を選ぶ際のポイント
【銀行(民間金融機関)の住宅ローン】
銀行の住宅ローンには以下のような特徴が見られます。
- 都市銀行: 全国に支店があり、窓口での対応が可能。金利はやや高め。
- 地方銀行: 地元密着の経営で窓口対応が可能。審査時には個人の事情を考慮してもらえる可能性があります。ただし、一般的には金利がやや高めです。
- ネット銀行: 金利が一般的に低めで、取引は主にオンラインや電話で行います。窓口がないため、自身でリサーチや問い合わせができる人に向いています。
近年では、窓口がある銀行でもウェブ上での申し込みや契約が可能なところが増えています。団体信用生命保険なども金融機関によってまちまちなので自身にあった銀行を見つけたいところです。
【公的機関(財形住宅融資)】
住宅金融支援機構が提供する「財形住宅融資」は、財形貯蓄を行っている人向けの融資です。融資手数料が無料で、住宅ローン契約にかかる費用を節約できます。
利用条件として、財形貯蓄を1年以上行っていること、申込日時点での財形貯蓄残高が50万円以上あること、勤務先から住宅に関する援助を受けていることなどが挙げられます。金利は5年ごとに見直しがあります。
【フラット35】
住宅金融支援機構が提供する「フラット35」は、全期間が固定金利型の住宅ローンです。全国の300以上の金融機関で取り扱われており、金利の見直しはないため安定した返済が可能です。健康上の問題で団体信用生命保険に加入できない場合でも団信なしのプランを契約できる可能性があります。
金利を選ぶ際のポイント
住宅ローンには主に変動金利と固定金利の2つの選択肢があります。
【変動金利】
- 金利は固定金利よりも低い傾向があります。
- 通常は半年に1回金利の見直しが行われることが一般的です。
- 金利が変動するため、将来の返済額が不確定であるという特徴があります。
【固定金利】
- 金利は変動金利よりも高いですが、定められた期間中は金利が変わりません。
- 金利の見直しはない「全期間固定タイプ」も選択できる場合があります。
- 金利の安定性があり、将来の返済額が予測しやすいというメリットがあります。
どちらの金利タイプが適しているかは、将来の金利動向の予測や家計の管理などに依存します。以下は考慮すべきポイントです。
- 金利の予測: 将来の金利が上がると予測される場合は、固定金利を選択するのがセオリーです。逆に将来の金利が下がる可能性がある場合は、変動金利が有利になりやすいです。
- 家計の安定性: 返済額が変動する変動金利は、支払額が不確定です。将来の大きな支出を見越して、一定期間返済額を変えたくない場合は固定金利が適しているかもしれません。
- 全期間固定タイプの検討: 返済期間中金利の見直しがない「全期間固定タイプ」が選択できる場合、将来の金利変動のリスクを軽減できます。
これらの要素を考慮して、自身の状況に合った金利タイプを選ぶことが重要です。
返済方法を比較する上でのポイント
住宅ローンの返済方法には主に以下の2つがあります。契約する際にどちらを選択するかは重要なポイントですので、注意深く確認してください。
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元利均等返済
- 返済額が一定であり、家計管理がしやすい点がメリットです。
- 当初は利息ばかり返済することになるが、後半になるに従って元本の返済が増えていきます。
- 借入期間が同じ場合、元金均等返済よりも総返済額が多くなる傾向があります。
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元金均等返済
- 元本の減りが早く、総返済額も元利均等返済より少ないことが特徴です。
- 返済開始当初は返済額が多く、返済が進むと徐々に返済額が少なくなります。
- 借り入れ当初の返済額が大きくなる点に注意が必要です。
「元利均等返済」を採用している金融機関が多いため、この返済方法が一般的です。この方式では、毎月の返済額が一定であり、家計管理がしやすいという利点があります。ただし、元利均等返済の場合、総返済額が元金均等返済よりも多くなる傾向があるため、個々の状況や予算に合わせて選択することが重要です。
団体信用生命保険を選ぶ際のポイント
団体信用生命保険(団信)は、住宅ローン契約者が死亡したり高度障害になったりした場合に、残ったローンを保険金として相殺できる保険です。多くの住宅ローン契約では、これに加入することが必須とされています。
多くの金融機関で取り扱っている、一般的な団信として一般団信、ガン団信、および三大疾病団信についての主な特徴を説明します。
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一般団信
- 対象: 死亡した場合に残債を一括で清算するための保険で、主に死亡リスクに対処します。
- 支払い対象: 借り手が死亡した際に、残債を保険金で清算します。
- 特徴: 家族や相続人がローンの支払いに負担を感じずに済むようにするための基本的な死亡保険です。
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ガン団信
- 対象: 借り手ががんに罹患した場合のリスクに対処するための保険。
- 支払い対象: がんが診断された場合、保険金が支払われます。
- 特徴: がんに対する特定の保障を提供し、がんの治療や生活費のために使えるようにします。ネット銀行を中心に50%のがん団信は無料で付帯されたり、各社様々なサービス展開しています。
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三大疾病団信
- 対象: 通常、がん、心臓病、脳卒中などの三大疾病に対するリスクに対処するための保険。
- 支払い対象: 三大疾病が診断された場合、保険金が支払われます。
- 特徴: がんだけでなく、他の重大な疾患にも対処するための広範な疾病保険。
これらの団信は、一般団信以外の保障についてはオプションとして付帯することができるケースが多く、付帯することで0.1〜0.3%程度の上乗せ金利がかかるのが一般的です。具体的な特徴や条件は、契約内容や提供する金融機関によって異なるため、詳細は金融機関に直接確認することが重要です。
諸費用を比較する上でのポイント
住宅ローンを選ぶ際には、金利だけでなく手数料や諸費用も比較することが重要です。以下は、住宅ローン契約時にかかる主な諸費用とそれに関するポイントです。
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事務取扱手数料:
- 金融機関へ支払う手数料で、定額型や定率型があります。
- 金利が低くても手数料が高いと、総返済額が増加する可能性があるため注意が必要です。
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保証料/保証事務手数料:
- 契約者が返済を続けられなくなった場合、残債を保証会社から金融機関へ一括返済してもらうための保証料が発生します。
- 保証会社にも事務手数料を支払うケースがありますが、ネット銀行などでは保証料不要としているところが多いです。
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団体信用生命保険:
- 金融機関が負担する場合もありますが、特約が付く場合は金利が上乗せされることがあります。
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火災保険料:
- 住宅ローン返済中は加入が義務付けられることが多いです。
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抵当権設定登録免許税/司法書士報酬:
- 住宅ローンを借り入れた金融機関が不動産に抵当権の設定をする際にかかる登録免許税があります。
- 司法書士に手続きを委任する場合は、別途司法書士報酬もかかります。
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印紙税:
- 金銭消費貸借契約書に貼って納税するもので、電子契約を利用すると印紙税は不要になる場合もあります。
これらの諸費用は金融機関や契約方法によって異なりますので、事前に確認して比較することが重要です。4,5は金融機関ごとの差は発生しませんが、低金利だけでなく、トータルのコストを考慮して最適な住宅ローンを選ぶことが大切です。
まとめ
住宅ローンを検討する際、通常は金利の比較が焦点とされがちですが、実際には金利以外にも考慮すべき要素が多岐にわたります。
特に銀行に支払う事務取扱手数料や、団体信用生命保険の保証や上乗せコストなどで大きな差が出やすいです。
ハウスメーカーや不動産会社の担当者がおすすめしたから安易に金融機関を決めてしまうのではなく、住宅ローン契約後の後悔を避けるためにも、今回ご紹介したポイントは事前にしっかり確認しておくとよいでしょう。